私も戦争に行って、勝つか負けるかで生死が分かれるという経験をしています。後の政治家人生は、その延長線上にあった気がする。しかし、今の政治家には、そういう気概が感じられませんね。

――今の時代に、それほどの気概を持った政治家はいるでしょうか?

 小沢君(小沢一郎・前民主党幹事長)に、そういう気概を少し感じますね。彼には明朗さはないけれども、東北人特有の不敵さや根性を持っている。何回たたかれてもめげない。あれは、東京人にはない資質でしょう。しかし、暗い陰がつきまとう。明るさが見えない。

首相時代に「風見鶏」
の姿勢を貫いた理由

――鳩山首相と共に幹事長を辞任した小沢さんは、かつて核武装論までタブー視せずに主張したほど、ポリシーの強い政治家でした。しかし、政権をとった後はどちらかというとそういうイメージが薄くなり、政策面では社会民主的な主張が多くなっていた気がします。なぜでしょうか?

 基本的なポリシーは変わっていなくても、国民に対して「変化」を見せていたのでしょう。時代は絶えず変わり続けるもの。政治家もそれに合わせて変わっていかないと、時代に捨てられてしまう。だから、政治家は時代に鋭敏でなくてはいけない。小沢君は、そういうセンスを持っているのだと思います。

 しかしながら、民主党が政権をとるために社民党との連立を策したが、自主独立の要素も示さなければ駄目だった。

「不易と流行」ではないが、私も首相時代にはよく「風見鶏」と言われたものです。風見鶏は足許はしっかりしていて、体はいつも風の方向を向いている。不動の上に柔軟な対応も見せる。政治家には、時としてそういう姿勢も必要です。

――それにしても、今の民主党政権は足許さえおぼつかないように見えます。彼らが安定政権を維持するためには、どうしたらよいのでしょうか?

 もっと自民党との基本政策の相違点を明確に打ち出して、独自の政策や財政基盤を固めていくことが、政党の信頼度を高めていくうえで必要でしょうね。