リツイートでの名誉毀損
賠償額の相場は「10万~20万円」

 橋下氏の一件に限らず、リツイートが名誉毀損に該当するとされた判決は過去にもある。ちなみに名誉毀損が成立するには、「公然と」「事実を摘示し」「名誉を棄損する」という3つの要件が必要だ。ただし、それが公益目的の書き込みであり、かつ真実である場合には名誉毀損には当たらない。

 2014年、東京地方裁判所において、リツイートの責任を問う判決が下されている。この判決では、「リツイートも、ツイートをそのまま自身のツイッターに掲載する点で、自身の発言と同様に扱われるものである」とされ、原告に対して慰謝料の支払いが命じられている。

「この裁判で原告は『リツイートした内容は元々、自分が発信したものではない』という趣旨の主張を展開しました。しかし裁判所は、リツイートであってもツイートと同じように損害賠償請求は可能である、というふうに結論づけたのです」

 翌15年にも、東京地方裁判所で同種の裁判の判決が言い渡された。この判決でも、「リツイートは既存の文章を引用形式により発信する主体的な表現行為としての性質を有するといえる」と言い下されている。

「リツイートは“主体的な表現行為”である。つまり、小説を書いたり絵を描いたりすることと同じ表現だとされています。リツイートは個人の見解や感想などを一切掲載せず、単に転載して再発信するという行為ですから、元々の投稿の内容をそのまま『発信』する表現行為と捉えられ得る。一方で、元の投稿に対し、自分の感想や意見を添えた上でアップするのであれば、それは、元の投稿そのものを『発信』する表現行為ではない、とも解釈できます」

 では、過去の判例では、どの程度の額のリツイートによる損害賠償請求が行われたのだろうか。

「リツイートによる名誉毀損の賠償請求額の平均は10万~20万円程度です。先日の橋下氏の一件が33万円と少々高額だったのは、橋下氏も岩上氏もともに社会的影響力の大きい人物だったという事情も関係しているのでしょう」

 裁判に勝っても、相場はせいぜい10万~20万円。弁護士費用などを考えると大した額にはならないため、名誉毀損などのリツイートをしても訴えられる機会は少ないが、相手がその気になればいつでも訴訟されるリスクはあるのだ。