厚生労働省が「体罰」に関する指針案を発表したところ、日本の親たちから非難が続出している。要は「ときに厳しく体罰でしつけないと甘ったれになる」ということなのだが、これは世界的なトレンドからは大きく逆行した考え方だ。世界では今、親の裁量に任せると命を落とす子どもが後を絶たないということで、法律で禁止する国が急増しているのだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

体罰禁止の厚労省指針案に
親たちから非難が殺到

体罰をする親のイメージ写真
「ときには体罰で厳しくしつけるべき」という価値観は世界中の国に見られるが、それを野放しにすれば虐待で命を落とす子どもたちを救えない Photo:PIXTA

 今月3日、厚生労働省が「体罰」に関する指針案を発表した。来年施行される改正児童虐待防止法に先立って、何をしたら体罰で、どこまでがセーフなのかということを示すため、以下のように「アウト」の具体例を提示したのである。

(1)口で3回注意したが言うことを聞かないので、頬を叩く
(2)大切なものにいたずらをしたので長時間正座させる
(3)友達を殴ってケガをさせたので、同じように殴る
(4)他人の物を盗んだので、罰として尻を叩く
(5)宿題をしなかったので、夕ご飯を与えない

 これに対して、世の親たちから批判が殺到しているという。中には、ここまで厳しく体罰禁止をされたら、親になりたくないという人も増えるのではないか、なんて意見もある。彼らがそこまで「体罰禁止」に反対する理由はザックリ分類すると、以下のような2本柱に集約される。

・単なる罰で叩くのはいけないが、愛情を込めて叩くのは問題ない
・「これは本当に悪いことなんだ」と子どもに理解させるには、ある程度の「痛み」が必要

「その通り!こんなバカな法律はすぐにやめるべきだ」と大きく頷いていらっしゃる方も多いことだろう。この国では長らく、「ワガママで甘ったれたガキは鉄拳制裁で更生させる」というのが、理想の教育とされてきたからだ。

 わかりやすいのが、40年前に放映が開始された「機動戦士ガンダム」だ。戦うことをゴネる主人公アムロ・レイが指揮官であるブライトに頬を打たれ、「親父にもぶたれたことないのに!」と怒った際に、ブライトが放ったこのセリフだ。

「それが甘ったれなんだ!殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか!」

 令和の今も愛される国民的アニメのやりとりからもわかるように、日本では子ども、特に男の子が親に殴られることはむしろ必要で、“大人の階段を上る通過儀礼”のように捉えられてきたのだ。