英国民は「合意ある離脱」が
最適解と判断したのだろう

 この連載では、16年の「EUからの離脱を問う国民投票」の後、どんなに英国政治が混乱して見えても、「英国は必ずEU離脱について『最適な解』を見つける」と一貫して主張し続けてきた(本連載第224回)。今回の総選挙で、英国民はジョンソン首相がまとめた「合意ある離脱」が最適であるという判断を下したのではないだろうか。

 筆者が、英国は最適な解を見つけると信じて疑わなかったのは、他の政治体制にはなく、自由民主主義体制だけが持つ機能があるからだ。それは、政治家も国民も「失敗」から「学習」することができ、大きな体制変革なくして、「失敗をやり直す」ことができること(第198回)。そして、それは権力を持つ側の言動が、全て国民にオープンである自由民主主義体制だからこそ可能なことである。

 英国のEU離脱に関する今日までのプロセスを振り返ってみよう。特筆すべきことは、いいことも悪いことも全て隠されることなく、英国民のみならず、世界中の誰でも自由に見て、自由に批判することができるオープンな状況で行われてきたということだ。

 3年前の国民投票から、本当にいろいろなことがあった。英国の政治家と国民は、EU離脱そのものの困難さ、そしてEU離脱のための合意形成の難しさを痛感した。「合理なき離脱」で起こる深刻な事態も認識した(第224回・P5)。

 その結果、英国民が下した判断が今回の総選挙の結果だ。多くの英国民は紆余曲折の末、ジョンソン首相が取りまとめた離脱協定案を、「まだマシなもの」として受け入れることにした。そして、これ以上EU離脱を巡って何も決められない混乱した状況が続き、他の政策課題が後回しにされ続けることを回避した。これは、EU離脱に関する全ての情報が国民にオープンだったからこそ下せた判断だと考える。