ジョンソン首相英国総選挙は保守党が単独過半数を得て勝利を確実にした。いよいよ始まるブレグジットへの道のりとは Photo:PA Images/AFLO

運命の英総選挙で保守党が圧勝
進み始めた「EU離脱」への道

 出口調査によると、12月12日に行われた英国の総選挙では、保守党が単独過半数を得て勝利した模様である。

 この結果、ジョンソン首相が10月に欧州連合(EU)との間で合意に達した協定案に基づくEU離脱への道が大きく拓けることになった。2016年6月の国民投票から約3年半の歳月を経て、英国はようやく離脱への筋道をつけることができた。

 当初の世論調査では保守党の圧勝が見込まれていたが、選挙戦が終盤にさしかかるにつれて労働党の支持率も上昇し、接戦が伝えられるようになった。ジョンソン首相もまた、自身が出馬したロンドン西部アクスブリッジ・アンド・サウスライスリップの選挙区で、労働党の若手候補との間で接戦を余儀なくされたようだ。

 しかしながらフタを開けてみると、保守党は改選前より80ほど議席を増やし、単独過半数を回復することができた。同時に単独過半数の議席を得たことでジョンソン首相は、これまでのEU離脱交渉をかく乱する「ノイズ」として働いていたアイルランドの地域政党DUP(民主統一党)を、政権から排除することが可能になった。

 今後英国は、2019年10月にEUとの間で合意に達した協定案(新協定案)に基づき、EUから離脱することになる。英議会が12月中に新協定案に批准すれば、英国は2020年1月1日にもEUを離脱することが可能になる。ただ、離脱が確実な情勢の中であえてそれを急ぐ理由もないため、英国は期限として定められた1月31日にEUを離脱するとみられる。

 労働党の最大の敗因は、EU離脱に関して曖昧なスタンスに終始したことにあったと考えられる。つまりコービン党首は、労働党が勝利した場合、EUと離脱交渉を再び行ったうえで、残留をもう1つの選択肢とする国民投票を行うというスタンスで総選挙に臨んだ。この曖昧な態度のため、EU残留派の支持者を十分に汲み取れなかった。