ウィンストン・チャーチル元英首相の有名な言葉、「民主主義は最悪の政治体制といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」は、今でも生きている。英国はブレグジット(英国のEU離脱)という難題に対して、奇跡的に「最適な解」を見つけた。このことは、どんな国でも陥る可能性がある「国難」に対してどう対処すべきか、議会制民主主義国の本家本元がお手本を示したといえるのではないだろうか。

英国がEUの早期離脱に動くのは確実
問題は離脱後の英国経済の行方だ

 さて、気になるのは、選挙後の展開である。いうまでもなく、保守党が議会で安定多数を確保したことで、ジョンソン首相はEUからの早期離脱を実行に移すことになる。

 問題は、離脱後の英国経済がどうなるかだ。英国は離脱後にEUと自由貿易協定(FTA)を締結する方針である。ただ、貿易量はEU残留時に比べて2~3割落ち込み、国内総生産(GDP)も3~8%ほど下回るという見通しがある。だが、筆者は短期的な経済の動向にはあまり関心はない。

 確かにEU離脱による経済の混乱は起こるだろう。しかし、ジョンソン首相はこれまでの首相たちのような緊縮財政とは真逆の、大胆な財政出動を行ってそれを補うだろう。英国の財政は他の欧州諸国と比べればまだマシな状況であり、短期的な財政出動に耐える体力は持っている。

 その上、英国に拠点を置く企業は既にEU離脱後の経済の落ち込みに対する準備を完了している。従って、おそらく試算された通りに経済が落ち込むことはないのではないか。これも、EU離脱を巡る情報がオープンだった賜物である。ジョンソン首相が就任したとき、英国の企業は「合意なき離脱」を覚悟し、それに対処する準備を始めることができていたからだ。

 そして、EU離脱直後の混乱期が過ぎていくと、この連載で何度も主張してきた、「英国の優位性」が効いてくることになる。それは、英国が「英連邦」という巨大な「生存圏」を持っていることだ。