英連邦には、「資源大国(南アフリカ、ナイジェリア、カナダ、オーストラリアなど)」「高度人材大国(インド)」「高度経済成長している新興国(東南アジア)」などが含まれる。英連邦を再構築しつつ、離脱後の最初の5年間を乗り切れば、その後は「巨大な生存権」を築ける可能性があるのだ(第134回)。

 それに対して、EUは「ドイツの独り勝ち」状態であり、ギリシャやイタリアなど経済的に問題を抱えている国が少なくない。それらの国では、ドイツへの不満もあり、極右政党が台頭している「EU離脱予備軍」国もある。また、英国のようにエネルギー自給ができず、ロシアの天然ガスに依存しており、エネルギー安全保障上も脆弱である(第149回)。

 もし英国がEUに残留すれば、経済的に困難を抱える国々の面倒を見るように押し付けられる可能性が高かった。早いうちにEUから抜けたほうがまだマシというのが、筆者の見解だ。

 また、英国がEUから離脱すれば、英ロンドンの国際金融市場「シティ」から資金が引き揚げられてシティに代わる金融市場が欧州に生まれる、シティの地位は劇的に低下するという意見がある。だが、これは間違いである。

 シティがEUの規制から自由になれば、世界中の資金はより規制が少なく、世界中に点在する英国領やエリザベス女王直轄領のタックスヘイブンが背後にあるシティに集まりやすくなるからだ。

 そもそも、シティには長年蓄積された国際金融市場としてのノウハウがある。これをドイツの製造業が中心であるEUが簡単に身に付けられるものではない。シティに取って代われるはずがないのだ。日本に例えるならば、「車の生産拠点である豊田市に、東京の金融市場を持ってきてもうまくできるはずがない」と言えば、分かりやすいだろうか。

 そして、さらに考えるべきことがあるとすれば、今回の総選挙で議席を伸ばしたSNPである。ニコラ・スタージョン党首は、EU離脱になれば、再びスコットランド独立の住民投票の実現を目指すと宣言している(第90回)。