英総選挙でボリス・ジョンソン首相を圧勝に導いたのは、従来の支持政党に対する有権者の見限りだった。同じような現象は近年、他の欧米諸国でも広がっており、政治の勢力図を塗り変えている。長らく上流階級の政党とされてきたジョンソン氏の保守党は今回、労働者の擁護者を標榜する野党・労働党から、ブルーカラーの選挙区で大幅に票を伸ばした。英国で支持政党の寝返りを促す原動力となったのは、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)だ。2016年に実施された離脱の是非を問う国民投票では、グローバル化の波に取り残された労働者階級の離脱支持派と、総じて残留を支持した都市部ホワイトカラー層の間に横たわる深い溝が露呈した。