高齢ドライバーの事故防止対策として、注目されている方法のひとつがクルマの自動ブレーキの普及。12月17日、国土交通省は2021年11月以降に販売する国産の新型乗用車に、自動ブレーキの搭載を義務づけると発表した。果たしてどれほどの効果があるのだろうか。言えることは、自動ブレーキ装備は単なるマイルストーンでしかなく、まだまだ根本的な解決にはならないということだ。ほかにもいろいろとやるべきことがある。(ジャーナリスト 井元康一郎)
自動ブレーキの義務化を
複数のメディアが報じたが…
2008年にスバルが「アイサイト」という商品名で衝突被害軽減ブレーキ(自動ではないが、本稿では便宜上自動ブレーキと記す)を展開したのを号砲に、自動ブレーキはあっという間に広まり、今日では装備されていないモデルのほうが圧倒的に少数派である。
そんな折、11月末に自動ブレーキの標準装備化を2021年度に義務づける方針を政府が固めたと複数メディアが報じていた。そして、12月17日には、赤羽一嘉国土交通相は2021年11月以降に販売する国産の新型乗用車に、自動ブレーキの搭載を義務づけると発表した。国連の下部組織である自動車基準調和世界フォーラムで、今年2月に自動ブレーキ義務づけの合意が形成されたことを受けての措置だ。
自動ブレーキの恩恵は年齢層や運転の熟練度を問わず、全ユーザーにとって計り知れないほど大きいものだが、とりわけ強い関心を持たれているのは、昨今社会問題化している高齢ドライバーの重大事故の防止効果。果たして自動ブレーキ義務化は、問題解決の一助になるのだろうか。