21世紀の最初の10年が終わった際、当時欧州委員会の委員長だったジョゼ・マヌエル・バローゾ氏は大いに楽観的だった。欧州委員会は「急激に変化する世界の中で、リーダーとしての責任を担うユニークな地位にある」と強調したのも同氏だった。しかし、その後の年月の中では、まさに欧州連合(EU)が生き残れるかどうかが問われる事態が何度も起きた。台頭する中国や影響力を誇示するロシアと米国の間の対立が深まる中で、世界秩序は書き変えられ、EUが重要視するルールに基づいた国際システムは損なわれた。この残忍になる一方の新たなゲームの中では、弱体化し、内輪もめが絶えず、のけ者にされたEUの影響力は、たとえあったとしても、本来あるべきレベルを大幅に下回っている。
EUの止まらない地盤沈下、回復させるカギは
政治家が欧州共通の利益を追求する能力に欠けているため、EUの潜在力が損なわれる
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