海外旅行では大気汚染に要注意
Photo:PIXTA

海外旅行では滞在先の大気汚染に注意を

 海外旅行の予定がある人は、新たに報告されたこの研究結果を知っておいた方が良いかもしれない。たとえ短期間でも大気汚染レベルの高い都市に滞在するだけで健康を損なう可能性があることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のJesus Araujo氏らによる研究から分かったという。詳細は、「Circulation」11月20日オンライン版に発表された。

 長期にわたる大気汚染物質への曝露が心血管疾患リスクを上昇させることは以前から知られていた。しかし、大気汚染レベルが高い地域に短期間滞在するだけでも健康に影響があるのかどうかについては不明だった。

 そこで、Araujo氏らは、2014年または2015年の夏に中国の首都、北京に10週間滞在したロサンゼルス在住の健康な成人26人を対象に、今回の研究を実施。北京への出発前、到着後(北京に滞在した年が2014年の群では到着から8週後、2015年の群では到着から6週後)、およびロサンゼルスへの帰国後の3度にわたり、対象者から血液および尿の検体を採取し、脂質酸化反応や炎症の程度、大気汚染物質の曝露量などについて調べた。対象者の平均年齢は23.8歳で、全員が非喫煙者だった。

 その結果、いずれの群においても北京滞在中、酸化した脂質の増加と、それに起因する心血管の炎症レベルの上昇、心疾患に関連する酵素の機能の変化など、身体の健康状態に関連するバイオマーカーの悪化が認められた。

 また、対象者の尿中の大気汚染物質濃度は、ロサンゼルスにいたときと比べて北京滞在時には最大で800%上昇していた。ただし、対象者がロサンゼルスに戻ってから4~7週後には、悪化したバイオマーカーのほとんどが正常レベルに戻ったという。なお、研究期間中の大気中の微小粒子状物質(PM2.5)の濃度は、ロサンゼルスと比べて北京では平均で371%高かった。