本省の課長級の職を経験せずに
いきなり官房審議官に就くことはありえない

 厚労省で就いていた職は医政局総務課医療安全推進室長である。この室長職は総務課に置かれた室の長であり、管理職ではあるが課長の下、いわゆる課長級分掌職である(細かい話をすれば、この室は、厚生労働省の内部組織に関する訓令第19条に基づき設置されており、室長は医療安全推進官をもって充てられるとされている。まさに課長級分掌職による充て職である)。

 つまり、官房審議官へのキャリアパスに必須の本省の課長ではない。

 その後、内閣官房に出向し、健康・医療戦略室の参事官に就いている。ここで、この内閣官房の室は先ほどの厚労省の室とは異なり、局の下の課のそのまた下ではなく、局並みの組織である。

 この場合の室長は局長と同等、次長は審議官クラス。もっとも、この室は健康・医療戦略室の設置に関する規則という内閣総理大臣決定に基づき置かれており、その中で室長は内閣総理大臣補佐官をもって充てるとされている特殊な組織でもある。そして、この室の課長級の職として参事官が置かれている。

 しかし、この参事官、課長級といえるものから課長級分掌職と同等のものまである。いわゆる局総務課長に当たる参事官は、総括参事官等とされるが、課長級分掌職にあった者がいきなり局総務課長級の職に就くことはありえず、大坪審議官が就いていた参事官とは、課長級分掌職クラスか、よくて平の課長級の参事官といったところだろう。

 従って、本省の局総務課長級どころか課長級の職を経験せず、出向先でも平の課長級の職に就いていた程度ということであり、その人がいきなり官房審議官に就くなどということはありえないということがお分かりいただけたのではないだろうか。

 しかも、現在天下りが厳しくなり、また定年延長等で、以前であれば官房審議官級の職に就いていてもおかしくない人が、まだ局総務課長等を歴任しているという例もある(ハッキリ言って課長級の職のたらい回し)。

 それにつれて、課長級の職への昇任も上が詰まっていてなかなか進まず、課長級分掌職である室長や企画官等の職をたらい回しにされているというのが実情である(比較的課長級の職が豊富で、その職に就きやすい総務省の旧総務庁系でもそんな状況である)。