「分配金は多い方が有利」と考えている人は損してしまう

「分配金は多いほうがいいに決まっている」

 そう考える人が多いのは自然なことです。でも、中身をよく見て欲しいのです。ざっくりと申し上げるならば、世の中の投資信託の分配金には、2種類あります。

 1)運用の成果の範囲内で、分配している(分配金)
 2)分配する金額ありきで、運用の成果を超えても分配している(特別分配金)

 分配してもらえる金額が決まっていると、計画が立てやすいということはあるでしょう。しかし、分配金がたくさん出るというフレコミで人気を集めた投資信託は、運用で儲かった部分を超える分配金を出していったのです。この2)の、運用の成果を超えての分配とは、どういうことでしょうか?

 図は運用スタート時に、ある投資信託Xが100万円でスタートしました。その年の運用は10%の損失となってしまいました。100万円の運用は、90万円に目減りしています。運用の失敗で利益が出ていません。

「毎月分配型」投信が陥る<br />「タコ足分配」で元本目減りのワナ

 しかし、この投資信託Xは、毎月分配を行い、年間で10万円を分配すると約束しているとします。そして分配金を10万円支払うと、元本は80万円に減ってしまいました。

 この分配金10万円は、実は預けたお金を取り崩しているにすぎません。このような、利益が出てないのに支払われる分配金のことを、「特別分配金」というのです。

「えーッ!? 特別分配金は、運用がうまくいった利益からでなく、預けた資金の取り崩しで、預けた資金がどんどん減っていくってこと? 特別って、特別感が全然ないし、損する仕組みだよね?」
「なんか、納得できない……」

 気づいた人は納得できない、でも気付いていない人が大勢いるのです。