力の源ホールディングス会長、河原成美力の源ホールディングス社長 河原成美 Photo by Kazutoshi Sumitomo

ラーメン「一風堂」を中心に、世界15カ国に約300店舗を展開する力の源ホールディングス。創業者である河原成美社長の起業家としての歴史は、まさしく波瀾(はらん)万丈だ。若かりし頃に、ある過ちで逮捕。その後、たった5坪の小さなバーの店主から始まり、今では年商約300億円の一大ラーメンチェーンを築いた。そこにはどのような物語があったのか。(聞き手・構成/ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

役者を諦めて
バーの店主に

 僕が飲食業に関わってから40年がたちました。

 1979年11月16日、博多駅の近くで最初に始めた店は「アフター・ザ・レイン」という広さ5坪ほどの小さなバーでした。

 もともと飲食業をやろうと思っていたわけではありません。芝居をしたいと思っていました。18歳ぐらいで劇団に入ったり、養成所に入ったりしていました。その後、地元の福岡で、飲食のアルバイトをしながら、小さな劇団で芝居をやっていました。

 ある時、兄から「友達の店が閉店するので、バーをやってみないか」と言われました。「芝居と飲食の両立でもいいのでは」と勧められたのですが、中途半端は嫌なので、飲食の道に入ることに決めました。26歳の時です。