中小企業やオーナー会社の一番の悩みは、稼いだお金の流出をいかに防ぐか。決算書を見るたび、せっかく稼いだお金が無策のまま税金などで流出しているのを嘆いているだけではいけない。『会社にお金を残したいなら今すぐ経費を増やしなさい』の著者に、中小企業向けの節税のポイントを聞く。

どんな設備で「即時償却」が使えるのか?Photo: Adobe Stock

「即時償却をしても変わりませんよ」
税理士のミスリード

 設備投資の金額を一括で償却できる「即時償却」。節税という点で、大変有効な制度です。

 私の顧問先には、再三にわたって「即時償却を使いましょう」と申し上げていますが、税理士さんのなかには、このメリットを理解されない方がまだまだ多くいらっしゃいます。

 たまに「即時償却をしても変わらない」という税理士がいます。この発言の背景には、“いまの利益が来年も、再来年もずっと続く”という考えがあります。これは会社経営に関与しない税理士、あるいは経理マンの発想です。

 しかし、経営者の発想は違います。立派な会社をつくられた経営者と話をすると、「今期はたまたまうまくいったが、来年はどうなるかわからない。ここ最近の好況は、運よく続いているだけ。気は緩められない」と、常に危機感を持っています。

 そういう経営者にこそ、即時償却を使っていただきたいのです。

 私が考える即時償却の大きなメリットは主に2つです。

(1)キャッシュが残る
(2)将来の不況期に備えることができる