電通vs博報堂。ヤマト運輸vs佐川急便。アップルvsアマゾンetc.
有名企業の決算書を徹底分析! 「儲かっている」のはどっちだ?
本連載は、誰もが知っている有名企業の決算書を対比させることで、「仕事に効く会計知識」と「経営分析の基本」を一気に学ぶものだ。著者は、「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの立場で「会計」に携わった経験を持つ川口宏之氏。近著に『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』がある。

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財務諸表を使って徹底分析!

 社員の年収が高い企業は、いつの時代も注目を集めるものです。本日は、年収ランキングの上位に来ることが多いキーエンスを分析します。

 下記の画像(キーエンスの決算書)を見てください。

 キーエンスの平均年収は2110万円です。上場企業は、社員の平均年収を有価証券報告書に必ず記載しなければなりません。有価証券報告書の「第1 企業の概況 5.従業員の状況」が掲載場所です。

 年間平均給与のほか、平均年齢、平均勤続年数も記載されています。対象は提出会社、つまり親会社のみとなりますので、子会社の社員の年収は平均年収の中には含まれていないことに留意が必要です。

 本題に入りましょう。高給とりであるのは、会社への貢献度が高いからといえます。それでは、キーエンスの高年収の理由を探ってみましょう。

 社員の給与は、会計的には人件費です。給与が高ければ高いほどコストが膨らみ、利益を圧迫します。ところが、2019年3月期のキーエンスは営業利益率が62.7%です(単体ベース)

 キーエンスが属する電気機器業界の平均の営業利益率は6%程度なので、この数値は驚異的です。キーエンスの営業利益の源泉を知るためには、粗利益を確認しましょう。

 なぜなら、粗利益から販売費及び一般管理費を差し引いて残った利益が営業利益なので、粗利益が大きくなければ、営業利益も大きくならないためです。

 キーエンスの2019年3月期の粗利益率を見てみると80.2%(単体ベース)もあります。製造業の粗利益率はせいぜい20〜30%程度が平均なので、80%越えの数値は常識的にはありえません。

 たったの19.8%の原価率で、どうやって商品を製造しているのでしょうか。