企業型確定拠出年金で
「高コスト投信」が増加中!?

投資信託のイメージ
昨年から開示されるようになった、商品情報をぜひチェックしてみよう Photo:PIXTA

 最近は確定拠出年金といえば、個人型(=iDeCo)が話題の中心となり、各マネー誌でもiDeCoに関する話題はよく見かける。ところが、iDeCoの加入者はまだそれほど多いわけではなく、2019年11月末時点では約144万人である。

 これに対して、同じ確定拠出年金でも、企業型の加入者は約732万人とiDeCoの約5倍であり、およそサラリーマンの5人に1人は企業型確定拠出年金の加入者である。この差は、企業型が企業の退職給付制度として採用されているため、企業が導入すれば原則その社員のほとんどが自動的に加入するからであり、個人が自分で契約する金融機関を決めて加入する個人型とはそのフローが全く異なっている。

 さらに個人型の場合は、多かれ少なかれ自分で関心を持った顧客が自分の意思で加入を申し込むのに対して、企業型は会社が導入する制度であるから、多くの社員にとってはあまり関心のないままに自動的に加入者になっているケースも多い。このため、企業型の場合は、加入者等に対して投資教育を実施することが事業主の責務として法律で義務づけられている(確定拠出年金法第22条)。この投資教育、中でも導入後の継続教育はとても大事だと言われながら、現実には全ての企業で行われているわけではない。これはこれで問題なのだが、それ以上に大きな問題なのが、運用商品のラインナップである。

 先日、1月10日付の日経新聞を見ていたら「企業型確定拠出年金、高コスト投信なお」という記事が出ていた。記事によれば、最近は投資信託の競争が激化して信託報酬(投信保有者が負担する手数料)は低下しているが、その方向とは逆に、企業型確定拠出年金においてはむしろ手数料は高い商品が増えている傾向があるという。

 これは一体どういうわけなのだろうか。筆者は2001年から2012年まで、企業型確定拠出年金の運営管理業務を行っていたので、その辺りの業界の事情については多少なりとも経験と知識を持っているが、最大の理由は、運営管理機関と企業の担当者の問題である。

 運営管理機関は、運用商品の選定や情報提供を行うのが役割だが、そのほとんどは金融機関自体か、あるいは金融機関の傘下にあるグループ企業である。したがって、実質は運営管理機関=金融機関と言い換えても良いだろう。

 確定拠出年金法は、「加入者の利益を最大化することのみを考えて運営管理機関を選定すべし」と規定している。すなわち、加入者に対してどれくらい使いやすいサービスを提供するか、あるいはどれくらいコストの安い優れた投資信託などを選定してくれるか、ということを十分に吟味して選ぶべきなのである。しかしながら、現実には多くの企業が、主要な取引先金融機関を運営管理機関に選定しているのが実態だ。

 もちろん、だからといってそれが全て悪いというわけではない。しかしながら、一般的に融資を受けている金融機関や大株主になっている金融機関は立場としては強いわけであるから、独禁法でいう「優越的地位の濫用」とまではいかないにしても、企業側が金融機関に気を使って忖度することは十分起こり得る。