「自分の顔が右に向こうとしているのを、自分の手で左に向けているんです」

 自分の中では、本質的には思考が変わっていない。そんな自分を騙して実践していったような感じだ。

 前出のサイトを通じて友人になった母親たちは、一度も会ったことのない相手だったが、彼女たちもA子さんと同じような体験を同時期にしていた。メールで情報交換しながら、今までの自分と反対の考えで接していったら、その子たちは外に向いていったという。

「親も人間だから、自分のダメなところに向き合わないといけない。子どもも別人格だから、子を通じて学べることもあるし、自分のダメなところに気づける。そうやって親が変われるかどうかは、これから子が前を向けるかどうかにかかってくると思います」

施設には入れたくない
息子と全力で向き合おう

 周囲から「民間の(自立支援をうたう)施設に預けたら?」と勧められたこともあった。でも、「母親としての本能で、この子は支援施設に預けたら絶対におかしくなるって思っていたので、私が殺されたとしても全力で向き合おう」とA子さんは腹をくくった。

「自分が率先して行動するタイプだったので、サボっているように見えたんです。もし、自分のような子が生まれていたら、発達障害のことや“普通”と違う個性的な考え方を持った子がいることに、多分目を向けていなかった。それ以来、世の中にはいろいろな人がいることを初めて知ったんです」

 長男はいつ勉強していたのか、最近、英検2級も取得。受験勉強の合間にゲームも続けている。