W杯直後に7人制へ専念せず
あえてトップリーグ開幕戦に出場

「15人制ではウイングの選手であっても、フィジカルの強さという部分も非常に大事になってくる。ブレイクダウン(ボールの争奪を巡る相手との攻防)の仕事も多いし、ボールキープやジャッカルのスキルも必要になるし、空中戦へ挑む場面も多い。そこで相手に当たり負けしない身体が必要になってきますが、これが7人制になると走る方に特化してくる。15人制よりも広いスペースを与えられた中で、何度も何度もトップスピードを出せる身体でなければいけないので」

 15人制と7人制の違いを、福岡はこう説明する。コートの大きさは変わらない。ゆえに7人制では攻撃側が使えるスペースも、防御側がカバーするスペースもはるかに広くなる。試合時間は7分ハーフと15人制の40分よりも短いが、1日に数試合を行うためにスタミナも必要になってくる。

 つまり、15人制と7人制のラグビーは似ているようで、まったく異なる競技となる。15人制で実績を残しても、すぐに7人制に順応できるとも限らない。福岡の場合は筋肉の鎧をそぎ落とし、爆発的な加速から「フェラーリ」と形容されたスピードを何度も繰り出すための肉体改造が求められる。

 東京五輪へ向けて、すでに日本ラグビー協会は第2次代表候補チームを編成。その中から選ばれた13人が、先週末にニュージーランドで開催された7人制の国際大会に出場している。同時期に熊谷で行われた合宿に招集された18人は、遠征組に続くセカンドグループという位置づけとなる。

 7人制へシフトするならば早いほどいい。つまり、ワールドカップ日本大会後に7人制へ専念する道もあったが、福岡はトップリーグの舞台に立つことを選んだ。熊谷合宿が行われる7人制代表のスケジュールと照らし合わせた上で、開幕直後の2試合限定でもいいから出場したいと望んだからだ。

「ラグビーの勢いというものが今、ものすごく来ている。この人気を冷めさせずに、さらに高めていくために自分にできることだと思い、今シーズンのトップリーグに少しだけ挑戦させてもらいました」

 魂をほとばしらせたプレーの連続が日本人の心の琴線に触れ、大フィーバーを呼び起こしてから約3カ月。熱気と興奮は1月12日に開幕したトップリーグにも伝播し、クボタスピアーズを迎えたパナソニックの開幕戦には、1万7722人のファンがホームの熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に集結した。

「スタンドの上まで見渡しても、本当にたくさんの人が見える状況だったので。普段のトップリーグでそうなるというのは、本当に幸せなことだとあらためて感じていました」