コーヒーの味の好みは人それぞれだ。美味しさの基準も主観的なもの。だが、コーヒーの「濃度」は客観的な基準があり、濃度を調整することで、「自分好みの味」に変えることができる。では、具体的にどこを調整すればいいのか?
日本テレビ系列『嵐にしやがれ』、NHK『逆転人生』にも出演し話題沸騰のワールド・バリスタ・チャンピオン、井崎英典氏が書き下ろした『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』から、その内容の一部を紹介する(撮影:京嶋良太)。

コーヒーのフレーバー、甘味・酸味・苦味、そして質感に代表される味わいは主観的な表現であり、個人の嗜好にその評価は大きく影響を受けます。

その一方で、「濃度感」は客観的な数値で表すことができ、数値によって嗜好に合った味わいをコントロールすることが可能です。

ここでは「濃度感の高低」で好みを探る方法をご紹介しましょう。味わいに影響を与える要素は不確実かつ不特定多数の要素で満たされていますが、濃度感はある程度の予測がつき、論理的な再現性があります。

濃度は大まかに分類すると

(1)焙煎度合い
(2)お湯の温度
(3)粒度
(4)ドリッパー

に影響を受けます。特に影響が大きいのが、「焙煎度合い」です。焙煎度合いが深くなればなるほど、濃度は上がります。これは焙煎度合いが深くなると溶解度(お湯にコーヒーの成分が溶け出す割合)が高くなることが影響しています。

「お湯の温度」も濃度感に影響を及ぼします。温度が上がれば上がるほど溶解度は上がりますので、沸騰したてのお湯と比べて、80度で抽出した場合の濃度は低くなります。

「粒度」(豆の挽き目)は、細かくなればなるほど濃度感が上がります。豆の表面積が増えればお湯と触れる面積が増えますので、結果として濃度が上昇します(粒度を細かくすることによる濃度の上昇には限界があります)。

「ドリッパー」は第9回で説明した通り、底面部の穴の数や形状によって濃度感が変動します。例えば、「深煎り+高温+粒度細かめ+メリタ式」=濃度感が高くなりますし、「浅煎り+低温+粒度粗め+ハリオV60」=濃度感は低めとなります。

濃度感が高ければ、苦味にベクトルが向きやすくなり、濃度感が低ければ比較的酸味を感じやすくなります。

自分好みの濃度感を知ることで、気分に応じて抽出し分けることも可能です。例えば、朝は少しだけスッキリ飲みたいな、と思えばドリッパーを使い分けたり、買ってきたコーヒーが思ったより深煎りで苦すぎる場合は、温度を使い分けたり、「焙煎度合い・お湯の温度・粒度・ドリッパー」のいずれかを調整することで濃度感をコントロールすることができます。

濃度感に影響を及ぼす順番は、「焙煎度合い>粒度>お湯の温度>ドリッパー」と考えていただければ、自分好みの濃度に到達する近道となります。