キーは「はんぺん」
大阪のおでん種ベスト10に入らず

 なぜなら、豆腐を見てみなさい。日持ちがしなくとも全国区ではないか。それに、ちくわぶだって、今は真空パックの物もある。さらに、4本目の『全国のこなもの文化』で、私の考えは強化された。キーは、はんぺんである。

 おでん種ベスト、東京は「大根、こんにゃく、はんぺん、玉子」の順。大阪は「大根、こんにゃく、牛すじ」で、はんぺんは10位にもはいっていない。つい数年前まで、大阪で、はんぺんを見かけることは少なかった。はんぺん、大阪のおでん種ベスト10には食い込めていないが、今では、我が家が日常的に食料調達をする『千林くらしエール館』でも年中売られている。早い話が、それなりに美味しかったら普及していくのである。

 最後の5本目は『ちくわぶで遊ぶ』で、著者の丸山晶代さんとクレイジーケンバンドのギタリスト小野瀬雅生さんとの、ちくわぶ偏愛対談。ここまでくると、ツッコむ気力も消え失せた。しかし、あっぱれである。ちくわぶだけでここまで書くとは。まいりましたでございます。

 ある食べ物について、ここまで愛す人(例:著者の丸山晶代さん)と、まずく感じる、いや、口にあわない人(例:阪大医学部N)と、意見が分かれるのは不思議だ。前者が正しくて後者が間違えているのか、あるいはその逆か。決着をつけてみたい。前者が意見を変えることはありそうにない。だから、それには、後者が意見を変えるかどうかにかかっている。

 機会を見つけて、この本に紹介されている、ちくわぶの名店にこそっと行ってみよう。ちくわぶ嫌いとして指名手配されてたらあかんので、マスクとサングラスをして。もちろん「ちくわぶ」と東京弁のアクセントでオーダーする。あかん、いま気がついたけど、ちくわぶの正しい発音がわからへんがな。

※版元の「ころから」からご提供いただいた写真は渡邉博海さんの撮影です。渡邉さんは元「有頂天」のギタリストで、丸山晶代さんといっしょに「ちくわぶ食べようよ」なるオリジナルソングを作っておられます。Youtube で見てください。むっちゃちくわぶ食べたくなりますからっ!

(HONZ 仲野 徹)