――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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ソフトバンクグループの価値を投資家はどう評価すべきか。営業損益や純資産価値をどう見ればよいのだろうか。
孫正義社長は12日に行った2019年10-12月期(第4四半期)決算会見で、その質問を巡る説明に多くの時間を費やした。孫氏の考えでは、ソフトバンクは通信会社から投資会社に移行したため投資家はその資産というレンズを通して同社を見るべきだ。同氏がそう願うのも当然だろう。ソフトバンクの純資産価値2280億ドル(約25兆0480億円、自社推計)に対し、時価総額は1090億ドルと、半分にとどまっている。
一方、同社の営業利益は投資先の価値の変動に左右されるようになった。2017年に1000億ドルの「ビジョン・ファンド」を立ち上げてからは特にそうだ。投資先の価値は長期的には意味がないかもしれないと孫氏は主張。主な理由として、中国の電子商取引大手アリババグループに対する持ち分(25%)の含み益が会計上の難解な理由のため含まれていない点を挙げている。
孫氏の主張には今回も動機がある。12日に発表されたビジョン・ファンド部門の営業損益が20億ドルの赤字だったのだ。ウーバーや、ウィーワークの親会社ウィーカンパニーといった投資先企業の価値減少が原因だった。ウィーカンパニーの新規株式公開(IPO)が頓挫したことを受け、ソフトバンクは10-12月期に同社の実質的な支配権を握った。アリババ株を算入していた場合、10-12月期の含み益は約300億ドルだっただろう。