これに対して、アップルはマイナス74日です。マイナスというのは支払いよりも先に販売代金が入金されることを意味しています。
日本の製造業や小売業で、キャッシュ・コンバージョン・サイクルがマイナスになっている企業はあまり聞いたことがありません。
10日分の在庫しか持たない
アップルのキャッシュ・コンバージョン・サイクルが短い要因は、棚卸資産回転期間がわずか10日という短さと、仕入債務回転期間が112日という長さにあります。わずか10日分の在庫しか抱えていないことになるので、不要な在庫を持たず、製造したらすぐに販売できる体制がアップルにはできあがっているものと考えられます。下図を見てください。
また、支払いサイトが112日になっている点も注目です。サプライヤーへの支払いを長期にしていますが、これはアップルが電子部品メーカー等に対して、圧倒的に有利な条件で取引できる力関係にあるからでしょう。
ただアップルも、初めからこのような状態だったわけではありません。