電通vs博報堂。ヤマト運輸vs佐川急便。アップルvsアマゾンetc.
有名企業の決算書を徹底分析! 「儲かっている」のはどっちだ?
本連載は、誰もが知っている有名企業の決算書を対比させることで、「仕事に効く会計知識」と「経営分析の基本」を一気に学ぶものだ。著者は、「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの立場で「会計」に携わった経験を持つ川口宏之氏。発売4日で重版が決まった『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』の著者でもある。

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アップルの「儲けの秘密」に迫る

 GAFAと呼ばれる米国のIT企業、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社は、経済全体にも大きなインパクトを与え、その勢力は衰えをまったく見せず、ますます巨大化しています。その成長力の源はどこにあるのでしょうか。

 iPhone やMacBook でおなじみのアップルを分析します。

 本日使う経営指標はフリー・キャッシュ・フローです。キャッシュ・フロー計算書を使った指標で、キャッシュ・フロー経営(利益よりもフリー・キャッシュ・フローの最大化を重視した経営方針)を体現している両社を比較する上では欠かせない指標といえます。

 アップルもアマゾンも米国企業のため、米国会計基準で財務諸表が作成されています。当然、英文の財務諸表になりますが、恐れることはありません。財務分析をする上では日本基準も米国基準も大きな違いはありませんし、会計上使われる英語は限られています。主要科目のみを翻訳すれば、問題なく読み解くことができます。

 下図を見てください。アップルの決算書を翻訳したものです。

 フリー・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローを合計した金額です。通常は、投資キャッシュ・フローはマイナスになりますので、本業での稼ぎである営業キャッシュ・フローから、事業維持のために投資したキャッシュ・フローを差し引いて残った金額となります。下記のイメージ画像を見てください。

 フリー・キャッシュ・フローとは、会社が自由に使えるキャッシュのことです。借金の返済に回して財務健全化を図ってもいいし、株主還元として配当や自己株式取得に使ってもいいし、新規事業や研究開発など戦略的な事業展開の元手として使ってもいい。まさにフリー(自由)なお金です。

 フリー・キャッシュ・フローは企業価値を算出するもとになるものです。この大きさが企業価値の大きさを決めるといっても過言ではありません。

 アップルのフリー・キャッシュ・フローは935億ドル(約10兆円)。桁外れの金額です。