アマゾンは「在庫」を持たない?

 アマゾンといえば、即日配送など、注文してから配送されるまでのスピードが強みの企業。数あるECサイトの中でもそのスピードは突出しており、アマゾンの競争力の源泉となっていると考えられます。しかも、今や書籍だけでなく、ありとあらゆる商品をとり扱っている巨大小売企業です。

 そのため、さぞかし莫大な在庫量を抱えているだろうと思いきや、わずか1か月半分の在庫しか保有していないのです。

 在庫切れになれば販売機会を失うことになり、売上にも影響しかねません。やみくもな在庫圧縮をしているわけではないはずです。

 アマゾンの棚卸資産回転期間の短さは、綿密な需要予測と徹底した物流管理のたまものといえるでしょう。

 さらに目を引くのが、仕入債務回転期間の長さです。この期間が95日、つまり3か月強もあるおかげでキャッシュ・コンバージョン・サイクルがマイナスになっています。

 アマゾンの場合、マーケットプレイスの存在が仕入債務回転期間の長さの要因になっていると考えられます。

 アマゾンマーケットプレイスは、アマゾン以外の業者が、アマゾンのプラットフォームを使って商品を販売することができるしくみです。

 外部業者が出品した商品がマーケットプレイスで売れると、いったんアマゾンに販売代金が入金されます。そして、数%の手数料を差し引いて、外部業者に代金が支払われるのです。

 恐らく、消費者からの入金から、外部業者への支払いまでの期間を長くすることで、仕入債務回転期間を長期化させ、キャッシュが貯まりやすいしくみを構築しているのでしょう。