「もともと、たいして才能ある野球少年ではなかった」――自身のことをそう振り返る福岡ソフトバンクホークスの思考派サウスポー・和田毅投手。スポーツ万能というわけでもなく、天才的なセンスがあるわけでもない彼が圧倒的な結果を出せている理由は何なのか? 球界きっての「思考派」と言われる和田投手が、その秘訣を余すところなく語った初の単著が発売された。

彼の著書『だから僕は練習する――天才たちに近づくための挑戦』は、どこまでも「野球」を題材としながらも、徹底的に「野球以外のこと」を語っている。彼の「練習論」は単なる野球の技術向上だけには収まりきらない、ある種の普遍性に貫かれているのだ。今回は同書の一節をご紹介する。

写真:繁昌良司

うまくいったことの「再現性」をどう考えるか

「ピッチャーはコントロールが命」との言葉があるように、狙ったコースへボールを投げる能力は、いいピッチャーの欠かせない条件だ。どんなに球速があったとしても、ストライクゾーンへ投げられなければ意味がない。四球を連発していては、まともな試合にはならないだろう。

僕はプロのピッチャーとしてコントロールにはある程度の自信を持っている。すべての投球を寸分の狂いなく操れているわけではないが、ストライクを投げられず、どうしようもなくなった経験はほとんど記憶にない。

ピッチャーがコントロールを磨くためにはどうしたらいいのか―。

一般的に、コントロールのよさ……つまり、ボールを狙ったコースへ投じるためには、「投球フォームの再現性」が重要だと言われている。
つねに同じフォームで投げれば、ボールは必ず同じコースへ行く。だから、ピッチャーはコントロールをよくするために、安定した投球フォームを身につける必要がある。そういう理屈だ。