右肩上がりの経済成長が望めない日本社会。その社会情勢のなかで、「そこまでお金がなくても最低限の生活ができればいい」と考える保守的な若者が増えているといわれている。いまの若者がなぜ保守化してしまったのか、若者の意識の変化について、関東学院大学経営学部教授で、著書『若者保守化のリアル』(花伝社)がある中西新太郎氏に詳しい話を聞いた。(清談社 福田晃広)

若者を世代で
一くくりにできない現代社会

今の若者世代は、好景気を一度も味わったことがありません
自由を求める気持ちが希薄で、「ルールを守る方がラクでいい」と考える若者たちが増えている Photo:PIXTA

 一口に若者といっても、どうくくっていいのか意外と難しい。人によって若者像はそれぞれ異なり、大学生までと考える人から、社会人になっても若者だとイメージする人もいるからだ。

 特に現代社会において、世代で分けることは簡単ではないと中西氏は語る。

「国際的に若者の定義は21歳までとしていますが、たとえば日本の行政では、34歳までとなっています。以前は高校や大学を卒業後、社会人となった場合、大人として扱われていましたが、いまでは就職できたとしても、低賃金で生きていくことに精いっぱいなため、一人前とはいえなくなっている。そのような社会背景があることから、より一層、若者と大人の境目がわかりづらくなっているといえます」(中西氏、以下同)

 職に就き、親元を離れて独立するのが一般的だった傾向が崩れてきたのは、バブル経済崩壊以降の1990年代後半である。

 その時期は就職氷河期といわれ、これまで当たり前であった就職ができない若者たちがあふれ、のちに経済白書で97年はフリーター元年と命名されるほどだった。
 
「いまの若者は積極性がない」といわれるようになったのも、その時期にあたると、中西氏は指摘する。

「簡単に言いますが、戦後最大ともいえるような不景気による社会環境の影響があまりに大きかったのも確か。就職氷河期を経験していない上の世代が、若者たちの気質のせいだと、責任を押し付けるような見方をしていました。フリーターだけでなく、ニートや引きこもりの問題も出てきて、若者が消極的になってきたというイメージが定着し始めたといえます」