新型コロナウイルスという打撃に見舞われるずっと前に、米アップルの業務管理部門は、同社が中国に依存していることへの懸念を示し始めた。一部の業務担当幹部はすでに2015年には、少なくとも一つの製品の組み立て工場をベトナムに移管すべきだと提案していた。そうすれば、アップルは中国以外の場所で、労働者を訓練し、部品供給業者の新たなクラスターを作り上げる複数年のプロセスを始められるはずだった。この議論をよく知る複数の関係者はこう話す。だが経営幹部はこのアイデアを一蹴した。中国との関係を自ら絶つようなやり方は、アップルには到底手を出せないものだった。中国は同社にとって第2位の消費者市場で、同社製品の大半の組み立てを行っているためだ。