実は「方方」は彼女のペンネームである。彼女の本名は汪芳という、中国の南京に生まれ、武漢育ちで、小説やエッセーを書く著名な作家だ。これまで武漢を舞台にたくさんの作品を書きあげてきた。

「方方」は彼女のペンネームである。彼女の本名は汪芳 方方さん。「方方」は彼女のペンネームである。彼女の本名は汪芳 (「方方日記」より)

 日記を書くきっかけについて、彼女はこう綴っている。

「当初は個人の記録として、この非常事態に襲われた武漢の普通の人々の身に起こったことや、喜怒哀楽を記述しようと思っていただけだった。ところが、書いているうちにたくさんの人に読まれ、共感され、重大な責任を感じるようになった」

 時には当局から直ちに削除されることに対しては、

「削除されても、私は書き続ける。その理由は、私は、なぜこれらのこまごまとした身近な出来事を書くのか、それはそのことを通じて、罪人たちに教えてやりたいからだ。多くの亡くなった人、そして今も感染している人々だけがこの災いの犠牲者なのではなく、われわれ生きている人間も、今回のこの人災に代価を払っているのだ」

 と語っている。

多くの読者が
「真実の武漢」を知ることができた

 実際、彼女の日記を通して、多くの読者が武漢で何が起こっているか、「真実の武漢」を知ることができたのである。

 日記が数えきれないほどの数にまで拡散され、大きな話題となっている現在。「方方日記」は、新型コロナウイルスで、厳しい状況に追いつめられた人々の心情の代弁者であり、時には心の慰めでもある存在となっているのだ。

 ゆえに、中国内では嵐のように大きな反響を巻き起こし、一種の社会現象にまで発展している。

 毎晩、日記が更新されると、30分もたたないうちに、閲覧する読者数は3000万を超え、コメント欄はまたたく間に数え切れないほどの反響であふれる。これらコメントも総じて長文であり、日記同様に質的にも読み応えがあるものだ。まさに、今の中国の人々の心情を読み取ることができる。

「お願いだから、ペンを置かないで!書き続けてください、あなたの日記が必要です!」

「日記が統治勢力に屈せず、我々庶民の味方となっていて、生きる力を与えてくれた!」

 多くの著名な専門家らもコメントを寄せる。

「集団的な沈黙は一番怖い。一つの声しかない社会は健全な社会ではない」

「今回のコロナウイルス騒動で、すべてのメディアが1人の女性に負けた。大の男たちが沈黙を続けて情けない!」

 などなど…。