もっともな言い分に聞こえるが、元秘書は「はっきり言って、党内では『見せしめ』と言われていた。溝手さんを慕っていた党職員のベテラン女性が『あんなひどいことを』とつぶやいていたよ」と首を振った。

「1強」だから何でも許された暴挙・独裁は終焉(えん)に近付いているようだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で“国難”ともされる状況で、検察庁は首相に弓を引いた。広島地検は東京と大阪の特捜部、広島県警の協力を得ながら、あえてこの日を選んだ。

 高検検事長の定年延長問題が取り沙汰されているのはご存じの通りだ。

 後輩である全国紙社会部デスク、元閣僚秘書、筆者と一致した見解だが、今回の事件は「首相案件」とも揶揄される。

 そう、いろいろな意味で首相案件なのだ。

「モリ・カケ・サクラ」など、誰の目に見ても分かる馬鹿馬鹿しいほどの公私混同を、検察が本気で刑事事件として立件することなど簡単だったはずだ。だが、しなかった。今回は、立件した。

「秋霜烈日」「巨悪は眠らせない」など、いろいろと格好つけながら、やっていたことは政権に邪魔な「大物」を排除していただけの組織が、真面目にやる気を出した。

 検察の人事問題は、組織の意義・存亡に関わってきたのだ。

「すごい変化球をビーンボールにしましたね」

 全国紙デスクは、検察がレームダックになった安倍政権に“挑戦状”を突き付けたという見方を示した。