乱用する絵文字に表れる
素直さやサービス精神

 男性のメッセージがおじさん構文になってしまう理由はさまざまある。一般的には「下心を隠そうとして気持ち悪くなる」「若ぶろうとしているからダサい」などと言われているようだ。確かにそんな側面もある。

50代後半(当時)の男性から元旦に届いたメッセージ50代後半(当時)の男性から元旦に届いたメッセージ

 わたしは40代以上の男性と2年間で100人以上会い、メッセージのやり取りをしてみた。セクハラじみたメッセージも多くもらったが、半面、男性の優しさや純粋さ、チャーミングな一面を感じる機会も想像以上にたくさんあった。

 例えば、絵文字を多用する年上男性は、社会的地位が比較的高い人や、キャバクラやスナック、風俗店などを利用することが日常的で、若い女性と接するタイミングが頻繁にある人が多かった。

「絵文字がいっぱいだとかわいい・うれしい」という女性の言葉を素直に行動に反映した結果、おじさん構文が誕生してしまったようだ。あるいは、自分の地位を自覚していて「年下の人たちに怖がられたくない。親しみを感じてほしい」という思いから、過剰なファンシーを生み出してしまう人もいる。

 また、キャバクラやスナック好きの男性にはサービス精神にあふれる人も多い。それがキャストたち女性のニーズと合致しているかはともかく、なじみの女の子たちに楽しんでほしいとか、毎日健やかに生きてほしいと願っている。だから、突然日記のようなメッセージを送ってくるし、健康や飛躍を祈ってくれるし、自分に響いた本の一説やポエムをびっくりするような長さで送ってくれるのだ。

 先日は、普段絵文字いっぱいのメッセージを送ってくる50代後半の男性から、コロナウイルスの予防法が送られてきた。何スクロール分もの注意事項は「コロナウイルスは○○度で死にます! こまめにお湯を飲むこと!」などの誤った情報だった。しかし、家族でも恋人でもない、どうでもいい他人であるはずのわたしの身を案じてくれている気持ちだけは、優しくありがたいと感じる。

 受け手側にある程度のリテラシーがあれば、おじさんからの残念なメッセージの奥に心遣いを感じることもできる。身内であれば「その情報デマだからね!」と注意をしただろう。相手を不愉快にさせたり、そこからケンカになったりしたかもしれない。おじさんは家族でも恋人でも友人でもない距離感だからこそ、「わかりました! ありがとうございます!」と気持ちだけありがたく頂戴できた。