そう考えると、やはり安倍総理がもっと頻繁に会見を開き、専門家の見解も含め分かりやすく国民に説明するようにすべきではないでしょうか。例えば感染が広がるドイツでは、メルケル首相が会見で、

・全人口の60~70%に感染する恐れがある。
・ただし、過剰に批判することは不要。ほとんどの感染者は軽症か無症候なので、問題は医療システムの機能不全を防ぎ、高齢者と持病を持つ者を守ること。
・だから医療システムに過度の負担をかけるのではなく、感染を遅らせることに軸足を置くべき。

 と実に分かりやすい説明をしています。

 実は安倍総理もこれまでほぼ同じ説明をしているのですが、役人が発言要領を書いているので、そこまで率直に伝わってきません。

 実際、日本政府の説明の下手さは際立っています。例えば、2月27日に学校の休校を要請した時、安倍首相はその理由として「子どもたちの健康・安全を第一に考え」と発言しました。

 しかし、子どもが感染しても重症化するリスクは高くないことを考えると、この説明には違和感があります。そこで官邸周辺で情報収集した時にこの件も尋ねたところ、学校の休校を決めた最大の理由は、ある地域で地元の教職員の多くが通うスポーツジムで感染者が出たことから、教職員がきっかけとなって学校がクラスターとなり、軽症の子どもから高齢者に感染が広がるのを避けたかったというのが学校の休校を決めた最大の理由のようでした。

 それならば、それを率直に説明した方が学校休校の必要性がもっと理解されたであろうに、回りくどい説明をした結果として、メディアなどが突然の休校要請を厳しく批判したことを考えると、安倍総理は正しい対応をしているのにあまりにもったいないと思います。

 一部の専門家が極論を述べて国民の不安を高めるのを抑えるにも、また極論への同調を求めるネット上の声を抑えるにも、やはり安倍総理が頻繁に会見して分かりやすく国民に説明を繰り返すのが不可欠ではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)