在宅勤務を実施する企業が増えている。しかし、社員からは「在宅勤務者は評価が不当に下げられるのではないか」という懸念の声が上がる。在宅勤務で評価を下げない5つの方法を紹介する。単純だが効果のある方法だ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
在宅勤務で
評価が下げられる!?
新型コロナウイルスの蔓延により、三菱商事、電通、パナソニックのように数千人単位の社員に対し出社禁止を打ち出して在宅勤務に切り替えている企業もあれば、在宅勤務の奨励に留めている企業もある。日本経済新聞による2月27日の136社に対する調査によれば、「原則在宅勤務」は10%、「一部で在宅勤務」は36%に上る。
在宅勤務を奨励しているいくつかの企業の社員に、在宅勤務をしている人の割合を聞いてみると、「10%くらいで、普段とあまり変わらない」という答えが返ってきた。さらに聞いてみると、「在宅勤務をすると評価が下がるのではないか」という声を耳にした。
もちろん、感染者が発生した非常事態の企業では評価どころの話ではないだろうし、一斉に在宅勤務を実施している企業では、そのような声はない。問題は「在宅勤務も可」としている企業だ。出勤している社員に比べて、在宅勤務の社員の評価が不利に扱われるのではないか、正当な評価がされないのではないかという懸念から、在宅勤務をすることに抵抗感があるようなのだ。
事実、マネジャーに聞いてみると、在宅勤務をしている社員に対して、次のような5つの懸念が挙がってきた。
(1)仕事をしているのか、していないのか、わからない
(2)日常的な対話ができず、細かな問題が解消されない
(3)姿が見えないので、コミュニケーションがとりづらい
(4)ネット会議をしても、活発な意見交換ができない
(5)メールや業務処理の対応が遅くなる
マネジャーが懸念を直に伝えている場合はもちろん、暗に懸念していることがメンバーに伝わって、あるいはメンバー自身が忖度をして、在宅勤務を躊躇するわけだ。「オフィスで仕事をしていようが、在宅で仕事していようが、仕事の成果で適正に評価しましょう」ということはよく言われるが、これらの5つの懸念は、仕事のプロセスにかかわる問題だ。成果とともにプロセスを評価している企業は多いので、依然問題が残る。
5つの懸念は、マネジャーが性悪説に立っているから起きるので、「マネジャーの意識を変えなければならない」という意見もあるだろう。しかし、「意識を変えよう」と言っても時間がかかる。行動を変えることの方が手っ取り早いことが多い。加えて、マネジャーを変えるよりも、自分が変わることの方が容易だ。自分の行動を変えて、在宅勤務で評価が下がるかもしれない5つの懸念を解消すればよいことになる。
このように申し上げると、「そんなうまい話があるはずがない」という声が聞こえてくるが、私がお勧めしている方法は次のとおりだ。それも、実施してみると、その場で効果を実感することができる方法だ。