北朝鮮写真:朝鮮労働新聞HPより

今度は「賄賂社会」“撲滅”で
動き出した金正恩氏の真意

 新型コロナウイルスの感染が深刻化する一方、21日には中距離弾道ミサイルとみられる飛翔体を発射した北朝鮮だが、コロナを凌駕するほどの深刻な「病」をめぐる問題が起きている。

 2月末には、朝鮮労働党中央委員会幹部などの間で「特権、不正・腐敗行為があった」と現職の党副委員長2人が解任され、3月に入っても連日のように、労働党機関紙や国営通信では「腐敗撲滅」や「全社会的な道徳建設」のキャンペーンが続いている。

 長年の「賄賂社会」に対する民衆の不満爆発が拡大しかねない情勢に、金正恩委員長自らが動き出した。

 朝鮮中央通信によれば、正恩氏は17日、平壌総合病院の着工式で久しぶりに姿を見せ「人民大衆第一主義」や「滅私服務」を強調したというが、3月に入ってからは平壌を離れ、日本海側の江原道元山付近の専用別荘にいることが多い。背景にはコロナ対策だけでなく民心の不穏な状況も影響しているようだ。

発端は高級党学校教授の自殺
「賄賂を強要する生活に疲れた」

 発端となる事件は昨年11月、平壌で起きた。