田嶋会長
新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応を示したことが発覚した日本サッカー協会の田嶋幸三会長 Photo:Masashi Hara/gettyimages

日本のスポーツ界に衝撃が走った。日本オリンピック委員会(JOC)副会長や2020東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会理事などを務めるスポーツ界の要人、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(62)が、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応を示したことが発覚した。感染者へネガティブな視線が向けられる風潮が強い中で、行動履歴を含めた事実を自らの希望で公表し、個人名が特定された初めての感染者となった田嶋会長の意図を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

欧州、アメリカに続けて滞在
帰国後に発症、RCP検査で陽性に

 世界中で非常事態や緊急事態が発令されるなど、新型コロナウイルス禍が拡大の一途をたどっている状況下で、日本において個人名が特定された初めての感染者が現れた。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長が、新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たことを自ら明らかにした。

 新型コロナウイルスに感染したことを、JFAを通じて公表したのは17日の夜。東京都文京区内で受けたPCR検査で、陽性反応が出てから数時間後だった。同時に1300文字あまりからなるステイトメントを発表し、行動履歴を含めて、発症に至るまでの詳細も明かしている。

 ステイトメントによれば、田嶋会長は2月28日から3月8日まで海外出張に出ている。まずは北アイルランドのベルファストへ向かい、2月29日に開催されたサッカーの競技規則などを決める世界で唯一の意思決定機関、国際サッカー評議会(IFAB)の年次総会に出席した。

 続いてオランダのアムステルダムへ移動し、3月2日に欧州サッカー連盟(UEFA)理事会に、翌3日には同総会に出席。前者ではブラジル、コロンビア、共催するオーストラリア及びニュージーランドと開催を争う、2023年の女子ワールドカップの招致プレゼンテーションを行った。

 さらに5日にはアメリカへと渡り、日本女子代表なでしこジャパンが出場していた国際親善試合、対スペイン女子代表戦をフロリダ州オーランドで視察。翌6日にはニューヨークへ移動して女子ワールドカップの日本招致活動を展開し、8日に日本へ帰国している。

 今現在はヨーロッパが世界保健機関(WHO)によって「パンデミックの中心が移った」と認定され、アメリカのドナルド・トランプ大統領も13日に国家非常事態を宣言している。しかし、自身が訪れた当時の状況を、田嶋会長はステイトメントのなかでこう綴っている。