ドル紙幣新型コロナ・パンデミックで世界経済の不透明感は増している。為替はこれからどう動くだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 新型コロナウイルス感染の拡大で、2020年前半を中心に世界経済の見通しが大幅に下方修正される可能性が高まった。こうした中、20年前半は資源国通貨が下落しやすく、対価として円が上昇しやすい状況が続こう。20年後半は、新型コロナウイルス感染終息と世界景気、株価および資源価格の持ち直しを前提に円反落を予想するが、感染終息や世界景気持ち直しが遅延するリスクも大きい。

世界景気のメインシナリオ:
年前半は減速、後半は持ち直しへ

 新型コロナウイルスの感染拡大は、発生源とされていた中国で2月半ば以降、終息の兆しが見られる一方、欧州では2月下旬以降、感染が拡大。人の移動制限や経済活動自粛が世界各地に広がったことで、世界経済の下振れリスクが大きくなった。このため、新型コロナウイルス感染拡大の悪影響は一時的かつ小幅で、緩やかな世界景気の回復基調は続くとの前提を修正する必要が出てきた。

 主要国のGDP成長率は20年1-3月期に大幅に悪化。中国は1-3月期に前年同期比+3%程度へ急減速する見通しで、4-6月期もV字回復は望めず、低調が続くとみられる。新型コロナウイルスの感染者数は、欧州、中東を中心に当面は大幅な増加が続き、今後は米国でも大幅な増加が見込まれる。国家、地域間での人の移動制限や、外出、イベントなど広範な経済活動の自粛がさらに広がるため、当面は成長率見通しの一段の悪化を織り込む展開となろう。

 投資家のリスク回避姿勢を示す指標は、2月後半以降、急速に高まっている。たとえばVIX指数や新興国債利回りの対米国債スプレッドなどは、08年のリーマンショック時以来の高水準となっている。こうした状況では、リスク回避の円高圧力や、資源国通貨への下押し圧力がさらに高まりやすいだろう。