共通する政策当局による
コミュニケーションの重要性
新型コロナウイルスの感染拡大問題で強く感じるのは、政策当局によるコミュニケーションが極めて重要という意味で、金融危機の際の対応との共通点が多いことだ。
コロナ問題も金融危機もともに、疾病や金融面のストレスといった原因事象だけでなく、人々がそれにどう対応するかによって、事態の展開や影響の深刻さが大きく変わるという特徴を共有している。
それは政策当局と人々との間でのコミュニケーションの仕方次第で混乱の度合いや結果が大きく違うからだ。
筆者は医学の専門家ではないが、少なくとも現象面を見る限り、感染症の世界的な流行が一定の頻度で生ずることは避けがたいようだ。
同様に、リーマンショックを機にした世界金融危機後にカーメン・ラインハルト教授とケネス・ロゴフ教授の著名な共著論文が示したように、一定の周期で世界規模の金融危機が生ずるのを逃れることも難しい。
その意味では、「次の金融危機」の際に政策当局は人々とどう対話すべきか、今回の経験から学ぶことには意味がある。