仮に従業員のマインドが変わり、会社が新しい方向に進み始めたとします。すると、そこで「やはり私ももう一度関わりたい」と考える旧経営者が必ず出てきます。沈みかけた船からは降りたがるが、順風満帆の船には乗りたがる。それも人間のさがだからです。そうなると、新社長の存在が邪魔になり始めます。必ず足を引っ張るようになります。そうなるのを防ぐためには、「全面委任」「旧経営者全員退陣」が絶対条件である。私は経験から、今ではより一層そう考えるに至っています。中途半端は絶対にうまくいきません。

池田純
横浜DeNAベイスターズ初代球団社長の池田純氏

 変わるなら変わる。代わるなら代わる。退くなら退く。任せたなら任せる。信じたなら信じる。

 中途半端な配慮や忖度、保身は経営改革には絶対悪です。

 そうでないと結局は、皆が不幸せになります。

「参謀」と「補佐」の
存在が不可欠

 経営者には「参謀」と「補佐」の存在が不可欠である──。その考え方を私は堺屋太一さんの『組織の盛衰』から、言葉と概念として整理でき、あらためてしっかりと学ぶことができました。私の経験から見て、プロ経営者にとってもその存在は必須であるといえます。

 会社の規模が200人程度であれば、全体を社長一人で把握することが可能です。仕事の内容も全て分かるし、会社の中で何が起きているかもほぼ見えます。しかし、その規模を超えると、社長一人の力で会社組織を変革していくことには限界と支障が生じる可能性が高くなっていきます。そこで必要になるのが参謀です。社長と参謀の二人三脚で、各部門のマネジャーに意志を伝え、モチベートし、変革の方針が現場の隅々まで浸透していくようにしなければなりません。

 一方、プロ経営者は改革が必須ですから、事業の全てを現場に、ボトムアップに、任せるべきではないというのが私のスタンスです。例えば、社内に5つの大きな事業領域があるのであれば、そのうちの1つはハンズオン、つまり自分の担当にし、率先垂範で自分が目指す変革の具体的な姿を見せることが必要であると考えています。しかし体は1つですから、全ての時間をその事業に充てることはできません。そこで必要になるのが、補佐の存在です。ハンズオンの領域でプロ経営者を支えてくれる存在です。