りそなグループアプリ
りそなグループアプリの画面。この画像も含めて、計12点の画像が意匠登録されている

 りそなホールディングスは、こうした画像デザインの模倣から権利を守ろうと、今回の改正前に意匠登録を実際に行った企業の1つだ。意匠登録したのは、預金管理や振り込みなどができる「りそなグループアプリ」の操作画像と表示画像の12点(意匠法改正前だが、アプリの操作・表示画面は「物品に表示される画像」として意匠登録が可能だった)。

 同社は、2017年からチームラボと協業し、顧客の使いやすさ向上を目指してアプリのデザイン開発に注力してきた。実際、感覚的に操作できるデザインやシンプルな動線によって、2018年にはグッドデザイン賞を受賞している。

「2018年2月にサービスをリリースしたが、当初は良いアプリを作って改善し、多くの人に知ってもらうことばかりに気を取られていた。しかし、デザインが優れていれば、真似されるリスクもある。そこで、デザインの権利を守ろうと、意匠権の登録をしようと考え始めた」(りそなホールディングス・オムニチャネル戦略部 後藤一朗グループリーダー)

 しかし、意匠登録の出願を決めたのはサービスをリリースしてから8ヵ月後の18年11月。意匠権は基本的に「新規性」が最も重要であるため、意匠登録の出願より前に公開された意匠は、原則として登録を受け付けてはもらえない。とはいえ、それは創作者にとって酷であり、デザインで産業の発達に寄与する意匠法の目的にも反する。

りそなグループアプリ意匠出願・登録資料
坂さんが意匠出願・登録に向けて用意した資料は100近くに上る Photo:Diamond

 そこで、例外として、公開されてから「1年以内」に「新規性の喪失の例外証明書」を提出すれば、意匠登録が認められることになっているという。

 この「新規性の喪失の例外証明書」の提出にとても苦戦したというのが、同オムニチャネル戦略部の坂徳峰さん。なぜなら、この例外証明書には、「公開された意匠の内容」、すなわち公開されたアプリの内容を告知する宣伝や展示、媒体などで紹介されたことを示す資料を、すべて提出しなければならなかったからだ。

「自信のあるアプリでもあり、広報活動に尽力してしまったため、店頭などで宣伝するのみならず、あらゆる媒体に取り上げてもらった。それが自分の首を絞めることになり、漏れなくすべての資料を集めるのに苦労した。結局、100近い資料を用意し、なんとかアプリのリリースからちょうど1年後の前日2019年2月18日に意匠を出願し、現在までに12の意匠登録が完了している」(坂氏)