「医療従事者は国にとって宝のような存在だ、彼ら彼女らの命も大事だ。このような官製キャンペーンはいらない!英雄にする前に、尊厳を与えよう」など、厳しい批判の声もたくさん寄せられた。

「武漢市中心医院」での
医師に対する情報隠蔽や口封じ

 現に、すでに日本でも報道されているように、武漢市政府や病院のトップらが情報隠蔽や口封じを行い、それが原因で多くの医師が犠牲となった。

 その典型的な例が「武漢市中心医院」である。1880年に創設し140年の歴史を有するこの著名な病院は3400ベッドに4200人の職員。昨年11月に眼科の李文亮医師をはじめ、この病院の数人の医師が新型コロナウイルスに気づいて、仲間の医師たちとのグループチャットで注意喚起をした。

 李医師はその後、公安に呼ばれ、「今後このようなことをネットに公表しない」と誓った念書を書かせられた。そして、彼は感染し、2月7日に死亡した。

 また、同じ病院の甲状腺乳腺外科の江学慶主任医師は、不安を与えるからという理由でマスクの着用を許されず、その後感染し亡くなった。

 そのほか、数人の医師もコロナウイルスは「人から人へ感染する」と気づいていたのに、病院の上層部から強く叱責され口封じされた。当時、防護服やマスクの着用が許されず、現場ではまるで裸でウイルスと戦っている状況だった。

 実に、この病院だけで現在5人の医師が命を落とし、230人が感染した。このような事実が最近となって次から次へと明らかになってきた。

 中国では言論の自由がないながらも、多くの国民が声高に医師たちを支持し、このような事態を招いた“犯人”を追及しようと、さまざまなソーシャルメディアで主張している。

医師に対する
中国国民の目は変わるか

 以上のように、中国では、医療現場に立つ医師や看護師には、過酷な状況が続いている。

 話が少し横道にそれてしまうが、実は、これまで中国では、医師と患者の険悪な関係が社会問題として長らく取り上げられてきた。