「まあまあ」か
「超優秀」なら異動脈あり!?

 では、売り手の側について考えてみよう。

 今の部署は、あなたを出してくれるだろうか。

 あなたの業績が継続的に悪いとき、また上司や周囲との人間関係が悪いとき、あなたは売りに出してもらえる。しかし、その場合は買い手の方が躊躇する可能性がある。ある部署で問題を起こす人は、たいてい他部署でも問題を起こすと思われるものである。よほど買い手側の欲しがる理由が明確で、あなたがそれにバッチリとマッチしていない限り、つまりあなたが異動先の部署にもたらすであろう利益を明確に示せなければ、この取引は成就しないだろう。
 
 一方、業績も周りとの関係もそこそこの場合、今の部署においてあなたにはそれほどの期待がかけられていないから出されやすい状況にある。下がそれなりに有能であればなおよし。彼(彼女)が自分の代わりになりますから、と言えれば異動できる可能性はぐっと高まるだろう。

 しかし、あなたが良い成績を示し続けている場合は、難しい。今の部署はあなたを出したがらないだろう。ところが、そのレベルを超えて抜きんでて優秀で、本社の人事部が注目するようなレベルにまで評判が高いなら、再び可能性が出てくる。無理に希望をおさえつけて、会社を辞められると困るからだ。

 つまり、普通か、超優秀であれば「売って」もらいやすくなる。

 さて、Bのように戦略的異動を行う会社で、かつ、大混乱を辞さない(2)や、市場相対の(6)の要素がふんだんにある場合は、成長著しい“良い会社”である可能性が高い。社内は常に大きく人が入れ替わり、計画異動どころかごちゃごちゃで、玉突きに次ぐ玉突き人事のさなかにあるので、あなたの希望するセクションにも、エアポケットのように、ぽっと一瞬空きが生まれる可能性がある。その結果、どこかしら希望の部署に潜り込める可能性が出てくる。さながら、欧州のサッカーチームで強豪選手がチームを移り変わる混乱の中で、日本人選手にも名門チームへの移籍のチャンスが降って湧くようなものである。