英国風パブの「ハブ」の店前で、臨時休業を伝える張り紙 英国風パブの「ハブ」の店前で、臨時休業を伝える張り紙(4月6日撮影) Photo:JIJI

4月7日、政府は緊急経済対策をまとめ、発表した。事業規模は108兆円という。しかし、よくよく見れば、まさに「看板に偽りあり」で、危機感の欠片もない内容だ。そこで、元官僚でもある筆者が解説する。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)

緊急経済対策は
「看板に偽りあり」

 令和元年度の年度末の3月31日、自民党の政務調査会が新型コロナウイルスの感染拡大による経済的危機への経済対策の提言をまとめ、安倍総理に提出した。その名も「緊急経済対策第三弾への提言〜未曾有の国難から「命を守り、生活を守る」ために〜」(以下、「対策提言」という)。

 いつの間に第三弾だったのか――というのはさておき、仰々しく、御大層な題名からすると、それに見合った内容、「未曾有の国難」に対処するに十分な施策が詰まっているのかと思いきや、結論から言えば、題名とは程遠い、本当に「未曾有の国難」と考えているのかと疑いたくなる、危機感の欠片もないようなもの。

 まさに「看板に偽りあり」であるが、その危機感の欠如した様は、別の見方をすれば失笑を禁じ得ず、まるでお笑い芸人のネタ帳か何かのようだ。

 加えて言えば、損害の実態、その裾野がどれくらい広いのかなどについて、的確に把握できていないであろうことが容易に推測できる内容と構成である。