そして、4月7日、この対策提言を受けて、政府は緊急経済対策を取りまとめ、決定した(本稿執筆時点ではその正式名称は未定であるが、また党の対策提言に輪をかけた仰々しい名称になるであろうことは容易に想像がつくが)。

 事業規模108兆円に対して政府の財政支出は39兆円(このうち、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費」として位置付けられた経費は、なんと16兆円強)と、こちらもその金額からしても「看板に偽りあり」であり、かなり底上げしてあるコップで提供される生ビールのようなものであり、まさに「見かけ倒れ」である。

 なぜそのように見かけ倒れなのかについては、やはり永田町、霞が関に蔓延する“緊縮脳・増税脳”によるところが大きいと考えられるが、本稿ではまず、この見かけ倒れ緊急経済対策の下地になった「基本的な考え方」において通底する自民党の対策提言について、それがいかに実態から乖離した、ある種滑稽なものであるかについて考察することとしたい。

 ちなみに、緊急経済対策については、話題となった「Go To キャンペーン(仮称)」に代表されるように、端的に言ってヒドイ内容であるし、未執行の政策をシラっと入れ込んで膨らませているのではないかと思われるもの、特定事業者の利益のためなのではないかと疑いたくなるようなものまで含まれている。これについては別稿で分析することとしたい。

お粗末感が拭えない
事業者の資金繰り対策や家計への支援

 さて、この対策提言、事業規模は60兆円とされ、「極めて大規模」だと喧伝されているが、これは事業規模であって実際の政府による財政支出、いわゆる「真水」と言われる部分はその半分にも満たない20兆円に過ぎない。

 それで「未曾有の国難」なるものに対処できると本気で考えているのだろうか。耳と目を疑う。

 この規模の記載と併せて、「日々刻々と変化する内外の経済情勢を踏まえ、対策の規模について、財源にとらわれることなく更なる積み上げを図ること」とされているが、リップサービスの類だろう(むろん、今後の更なる補正予算の編成について含みを残しているということなのだが、残念ながら規模感には期待は持てまい)。

 また、この対策提言の日程感、なんと東京オリンピックが1年延期されたことを受けて、来年のオリンピック開催に向けて、「感染拡大抑制期」「反転攻勢期」「中長期」などと組まれている。つまり、来年のオリンピックまでにはなんとかするということなのだろうが、新型コロナウイルスの感染は世界的に拡大の一途をたどっており、終息する兆しは全く見えない。

 加えて、「新型コロナショック」と評される経済社会への影響についても、それ以前からの世界的な景気後退と相まって目下拡大中であり、これに一部専門家の間で懸念されている複数の国・地域でのバブル崩壊が合わされば、「第2次世界恐慌」に至る可能性さえある(既に恐慌に突入しているとの見解すらある)。

 そうした中で、1年強で感染拡大抑止に反転攻勢とは、なんと楽観的でお気楽なことか。

 しかも、感染拡大抑制期について、そのための医療・検疫体制の整備を進めるべしとするのは異論を挟む余地はないだろうし、大いにやっていただきたいと思うが、事業者の資金繰り対策や家計への支援となるとお粗末感は拭えない。