メディア露出で気を付けている点は?

会場の質問③ ご自身がメディアやSNSで露出されていて、意識されていることはありますか。

田端 やっぱり個人として「嘘をつかない」ことじゃないですかね。たとえば、僕にいろんな人が著書を送ってきてくださるんですよね。大人がついやってしまうのは、中身を読まずに、知っている人のだから褒めなきゃと思って、「参考になる本だと思います」とSNSで紹介したりする。それは別に汚いとかじゃなく、大人として普通にやることだとは思うんですけど。でも俺は、読んで面白いと思わなかったら褒めないですね。スルーする。積極的に貶しめはしないけど。「この人がいいって言ってるということは、きっと心の底から本当に信じていることなんだ」と、みんなに思われることが大事なのかなと思います。

山口 なるほど。たしかにそうですね。ちなみに私は田端さんとの初対面2013年に書籍を出したとき、書籍テーマの対談の場だったのですが、会っていきなり「実はまだ目次しか読んでいないんですよ」と嘘をつかずにおっしゃっていて「え? 書籍テーマの対談なのにマジかよ! 嘘つかずに馬鹿正直な!」と思ったのを鮮明に覚えています(笑)。ただ、そのときの対談は結果的にSNSでバズったコンテンツになり、あぁ、さすがだなぁと。

 最後に、田端さんから皆さんに伝えたいことなどあれば是非お願いします。

田端 ちょっと軍事オタクみたいですけど、戦争映画は営業の勉強にもなると思っていて。たとえれば、営業マンは歩兵なんですよね。で、マーケティング・コミュニケーションは制空権をもつ空軍で。制空権をとれている戦場の歩兵がいかに楽かは、ぜひ経験してもらいたいです。
 地べたを這いつくばるような地上戦をやった人ほど、空軍の有難さもわかるし、味方を援護する最適なタイミングもわかるようになる。空から爆撃して相手がひるんだ10秒後に突撃するのが最適なのに、地上戦をわかってないやつが爆撃すると、うっかり味方を誤射したりタイミングがずれて援護できなかったりするわけです。

 営業もマーケティングも、売上をうみだす行為だとすれば、ぶっちゃけどちらも経営そのものです。どっちかだけの視点で「あいつらはわかってねえ」と言い合っているのが一番ダメ。営業とマーケティングの両方ともにボーダーラインを引かずに踏み越えていくことが一番大事なのかなと思います。