日米地位協定で
米軍関係者は入国拒否や隔離できず

 日本は横須賀、佐世保を母港とする米軍艦22隻の乗員を含み、5万5600人(ミリタリーバランス2020版)が在留する世界一の米軍駐留国だ。

 2位はドイツの3万8750人、3位韓国2万8500人だが、このほか日本には、米軍の軍属(軍に勤務する米国文官、民間人)約5000人、軍人・軍属の家族約4万5000人もいて、その合計は10万5000人余り。さらに駐留軍労働者約2万5000人が米軍基地に出入りしており、その感染も憂慮される。

「在日米軍の地位に関する日米協定」(地位協定)第9条は「合衆国は合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族である者を日本国に入れることができる」と定め、それらの人々は旅券、査証(パスポート、ビザ)、外国人の登録と管理に関する日本の法令の適用から除外される、としている。

 このため米軍関係者に対して日本は入国を拒否できず、検疫のための隔離も行えないのだ。

 それらの米国人は軍の輸送機(定期便もある)で東京の横田、沖縄の嘉手納などの米軍飛行場に着くと、基地の門の衛兵に軍の身分証明書を示して基地から出る。

 また羽田、成田など民間空港に発着する民間機に乗り降りする際も身分証明書で通る。

 軍艦や米軍が雇った輸送船の乗組員も入港すると街に繰り出す。米海軍は艦内禁酒だし、出動すると何週間も狭い艦内に閉じ込められるから上陸が待ち遠しいのだ。

 また横須賀、佐世保を母港としている軍艦の乗組員と家族は、日本が提供している米軍住宅に住むほか、基地(提供施設)の外に家を借りて住む者も少なくない。

 米軍将兵は本国から直接、日本に来るとは限らない。

 感染者が多く出ている他の国、例えばイタリアのナポリの在欧米海軍司令部から横須賀を母港とする第7艦隊に転任したり、韓国烏山の米第7空軍を訪問した後、横田の第5空軍司令部に立ち寄ったりする士官がいてもおかしくはない。

 日本が米国人の入国を拒否する「水際対策」を取っても、10万人以上もの米軍関係者が旅券もなしで日本に自由に出入りできるのでは、玄関を閉じて裏口を開けているような状態だ。

 外務省北米局の担当官は、地位協定第9条により、米軍人などの出入国の制約はできないことを認めつつ、こう説明する。

「米軍も新型コロナウイルスの蔓延防止に必死で、検疫や、感染の可能性がある人の14日間基地内隔離、基地の一時的閉鎖などを行っています。日本の制度では隔離を免れる人がいても処罰できないが、米軍は命令違反で罰すると言ってます」