テレビ番組で「はちみつが健康によい」
コロナの効果は「エビデンスなし」

 二つ目の原因は、テレビ番組ではちみつが大々的に取り上げられた影響だ。3月10日、ある民放の番組で、「はちみつは健康に良い」といった趣旨の内容が放送された。

 これが新型コロナ騒動に伴う健康意識の高まりで、「はちみつが新型コロナウイルス撃退に効く」という誤ったイメージが流布されたのだ。「テレビ番組の放映直後、売り場からはちみつが消えた」(大手小売りはちみつ売り場担当者)と振り返る。

 しかし、新型コロナウイルスに対するはちみつの効果について、「健康に及ぼすはちみつの効果効能については、弊社の見解はない」(加藤美蜂園担当者)、「新型コロナに対応するエビデンスは現状ない」(山田養蜂場担当者)と、はちみつメーカーは明確に否定する。

「コロナに効果がある」という広告が出現
消費者庁は改善要請や注意喚起を促す

 消費者庁によれば、コロナに対する効果を検証した研究は存在しない。それでも、「はちみつがコロナウイルスに効く」といった根拠のない内容を標榜する例が、インターネット上で後を絶たないという。

 はちみつに限らず、ビタミンDや青汁などをはじめ、健康食品を中心に「新型コロナウイルスに効く」といった趣旨の悪質な広告が続出している。

 一部の悪質な業者は、人々のコロナへの恐怖心を商品の販売促進に活用しようとしている。しかしはちみつをはじめ、新型コロナウイルスに効果がある食品は存在しないのが現状だ。

 こうしたうたい文句について、景品表示法や健康増進法に違反する可能性があるとして、消費者庁では改善要請と注意喚起を行っている。

「コロナに効く」というキャッチコピーに踊らされることなく、「三密」を避ける、手洗いをするといった基本動作の徹底で、新型コロナウイルスから身を守りたい。