新型コロナウイルスの感染拡大は、思わぬ業界にも影響を及ぼしている。小規模の製造事業者がひしめき合う豆腐業界に、倒産・廃業の危機が迫っているのだ。特集『倒産連鎖危機』の#12では、豆腐業界が持つ特異なビジネスの構造が倒産・廃業を加速させる実態を明らかにした。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
居酒屋向け売上高が7割減
コロナが豆腐店の窮状に追い打ち
ある豆腐製造事業者は「3月に入って以降、大手居酒屋チェーン向けの売上高は例年と比べて7割減まで落ち込んでいる」と肩を落とす。「今回のコロナショックで、豆腐業界は最も影響を受けている産業の一つだ。これから倒産や廃業が相次ぐだろう」(同)というから、穏やかではない。
飲食店にとって、送別会シーズン真っただ中の「3月」は稼ぎ時である。だが今年は、新型コロナウイルスの感染拡大が終息しないことから、顧客には外食自粛ムードが漂っている。とりわけ、宴会需要が大きい中高価格帯の居酒屋は苦戦気味で、客数の減少に歯止めがかからない。
もとより、小規模の企業がひしめき合う豆腐製造事業者の経営は苦しかった。今回のコロナショックによる外食向け需要の減少が、その窮状に追い打ちをかけているのだ。