LGBTというコトバを、誰もが知る時代になった。しかし、「(LGBTが)自分の周りにはいない」という非当事者の声も相変わらず多いようだ。いま、LGBTの当事者たちが職場で抱えている問題と、それに対し、企業がどう臨むべきかを考えてみる。(ダイヤモンド・セレクト「オリイジン」編集部
*現在発売中の『インクルージョン&ダイバーシティ マガジン 「Oriijin(オリイジン)2020」』から転載(一部加筆修正)

コトバは浸透したものの
LGBTへの理解は途上

 障がい者や外国人と異なり、LGBTについては国や行政の公表数字が少ない。その反面、民間企業やNPOによる調査データはさまざまなものがあり、LGBTの出現率の相違などが誤解や偏見を生むこともある。

 ここ10年で、LGBTというコトバ(セクシュアル・マイノリティの総称のひとつ)がメディアで表立つようになったものの、2020年現在の日本では、コトバ先行の状況で、学校や職場におけるLGBT当事者への理解や対応は、まだまだ途上段階といえるだろう。

 LGBTの「働」(企業などにおける就労状況)を考えるときに、まず留意したいのは、性的指向の区分である「ゲイ・レズビアン・バイセクシュアルなど」と、性自認・性同一性の区分である「トランスジェンダー」では、当事者の「働きづらさ」の理由がまるまるイコールではないということだ。

 性的指向におけるセクシュアル・マイノリティの働きづらさは、職場にいる者のハート(ココロの持ち方)を起因とすることが多い。

 たとえば、ゲイ(レズビアン)の当事者に対して(当事者とは知らずに)「彼女(彼氏)はいないのか?」「まだ結婚しないのか?」といった問いかけをしたり、当事者の耳に入るかたちで、「(ゲイやレスビアンの存在が)気持ち悪い!」といった発言をする、などである。

 もちろん、個人差や業種の違いはあるが、性的指向が就職活動の妨げにはなることは少ない。しかし、就職後に、上司・先輩・同僚といった周囲の無理解で、当事者が職場への不信感を募らせていくのはよくあることだ。