「人生の時間を何に使うか」でやることを決める

カツセ: 僕が読んで、よかったところをメモしてきたので、感想も一緒に伝えていいですか?

桜林: さすが、カツセマサヒコ、真面目!仕事ができる!

カツセ: 言いすぎて嘘っぽいじゃん(笑)。まず、全体的にサクちゃんさんがすごく遠い位置にいて、いい意味で、突き放されるんですよ。

桜林: ああ(笑)。距離感は意識していて、私がどこの誰かわからなくても読んでもらいたいじゃないですか。だからできるだけ、自分を消して、ではないんだけど、全面には出さないようにしました。タレントではないので、書店で名前や顔で手に取ってもらえることはないし。肩書きで言うと私、クッキー屋なので。

カツセ: たしかに、これはクッキー屋が書く本ではない。で、特に距離を感じたのが、38ページー

極端なことを言うと、人生はただの時間だから、死ぬまでの時間を何に使うか、誰といるかがすべてだ思う。

人生論は数あれど、ここまで言い切っている人はなかなかいないと思う。悟りの開き方が尋常じゃない(笑)。

桜林: ふふ。でもほんとにそう思う。

カツセ: 生きている時間を何に使うか、ですね。

桜林: そう。「得意な仕事とやりたい仕事、どっちを選んだらいいですか?」って質問をもらったけど、そう考えるのが不思議で。私は得意な仕事としてクッキー屋をしてるけど、その裏側には「お金と時間に困りたくない」っていう願いがあるんですよ。だから、どっちかを選んだというよりは、仕事だけじゃなくて家族との時間や趣味も含めて、その時の優先順位を決めて、時間をどう配分するかを考えただけなんです。

カツセ: なるほど。ここで、僕が勝手に「なぜサクちゃんさんはクッキー屋になったか?」を説明すると、シングルマザーになられて、お子さんと長く一緒に過ごすためにも、なんとか時間とお金に困らない方法を見つけないといけない。石油王と結婚するとか未来の不確定要素から選ぶのではなく、過去に積み上げてきた、自分が確実にできることとして、12年間勤めてきた会社をやめて、クッキー屋を開いた。”こうなったらいいな”は選ばない。できることから始めて、地に足のついた、夢のない起業をした人です(笑)。

桜林: まあ、そうですね。私は夢組にはなれないというか、やってみたことがないことにチャレンジしようとは思わない。何かを目指すことにモチベーションが上がらないし、がんばれない。自分にできることをやっていたら、気づいたらそうなっていたパターンですね。ただ、モチベーションが上がらなくてもできるように、習慣にすることは意識しています。