厚労省のコロナ対策が、生活保護に関しては意外と手厚い理由批判が多い厚労省の新型コロナ対策だが、生活保護に関しては健闘が目立っている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

厚労省の新型コロナ対策
生活保護に関しては健闘

 新型コロナ対策に関して、厚労省を批判する声が数多い一方、称賛する声は少ない。しかし今回、生活保護に関しては厚労省の健闘が目立っている。

 3月4日、厚労省社会・援護局保護課が各自治体に対して発した事務連絡では、生活保護の場合、新型コロナのPCR検査は公費(生活保護の医療扶助)で受けられることが示された。しかも、「本人が福祉事務所に行き、医療扶助を申請して医療券を受け取る」という通常の手続きは、省略可能となっている。

 また医療機関は、通常は生活保護法指定医療機関に限られるが、その他の医療機関でPCR検査を受けても同等の扱いとなる。

 3月10日の事務連絡では、3月4日からの小中学校等の一斉休校や「自粛」に伴う失職および収入減少の可能性を示し、さらに住まいに関する支援の重要性を述べている。

 家賃だけの援助があれば乗り切れそうな場合、最初の選択肢として考えられるのは、生活困窮者自立支援制度に基づく住宅確保給付金だ。しかしこの制度には、2013年に成立する前から「生活保護を利用させないための盾」という見方があった。

 今回厚労省は、「自立相談支援機関においては、生活保護が必要と判断される者は確実に福祉事務所につなぐことが必要」とクギを刺した上、万が一にも水際作戦と取られるようなことはしてはならない(面接時の適切な対応)、生活保護の開始はできるだけ速く(速やかな保護決定)、さらに、すでに住まいを失っている人には一時的な住まいを(一時的な居所の確保が緊急的に必要な場合の支援について)という3項目を示している。

「一時的な住まい」として例示されているのは、「民間宿泊所、ビジネスホテル、カプセルホテル等」だ。また費用についても、このような場合の特例を示している。自治体は、「あとで厚労省に『その分の保護費は出さない』と言われるかも」という心配をする必要がなくなる。